


「あ!筆が固まった!アクリル絵の具が落ちない…」
「水で溶いて使っていたのに!どうして?」
なんていうことありませんか?
作品を仕上げた喜びも束の間。「さあ片付け」という時にびっくりですね。
また、前回ちゃんと洗えていなくて、いざ使おうとしたときに固まっていたり……
ここでは、そんなお困りを解決します。
日頃からアート制作でアクリル絵の具を熟知している私が、
時間がたって乾いてしまった
『筆についたアクリル絵の具』を 確実に落とす方法 を、
実際の検証写真付きで徹底解説します!
アクリル絵の具は、水彩絵の具より格段に頑固に固まりますね。
でも心配いりません!正しく知れば落とせるのです。
普段私が落としている簡単な方法をご紹介いたします。
・付いてすぐなら水洗い!根元までしっかり落とすのがコツ!時間との勝負
・乾燥して固着した時は、アルコールに浸して洗う!
3種類試した結果、アルコールが最も手軽で効果的でした。
| 方法 | 所要時間 | コスト | 筆へのダメージ | 落ち具合 |
| 水洗い | すぐ | ほぼ無料 | なし | 乾燥前のみ◎ |
| 重 曹 | 長時間 | 安い | 少ない | △ |
| リムーバー | 5分 | やや高い | 中 | ◯ |
| アルコール | 1〜2分 | 安い | 少ない | ◎ |
まず、筆に付いたアクリル絵の具が落ちにくい理由を知ってから、実際の落とし方に進みましょう。
目次
筆についたアクリル絵の具が落ちにくい理由【落とし方の前に知るべきこと】
アクリル絵の具の特性
アクリル絵の具は初めは水性で水で薄めたりできますが、
乾燥するとアクリル樹脂が膜状になることで耐水性になります。
アクリル絵の具は“顔料”に“樹脂”を混ぜて色を定着させています。
そして時間が経つとともに酸素との結合が進むと、ますます固着するのです。
屋外のアートにも使われるほど、その耐水性・耐光性・耐久性が高いので、
時間が経つと、それを 完全に落とすのは非常に困難になる のです。
残念ながら、72時間経過したら“完全に”落とそうとするのは期待しないでください。
筆に付いたアクリル絵の具を落とすには?
そんなアクリル絵の具を落とすには、
絵の具に含まれている“樹脂”を“溶剤”で溶かすか浮かす必要があります。
どんな溶剤が効果的でしょうか?
一般に推奨されている方法
筆についた絵の具を落とす方法は
メディアでは主に次のような物が紹介されています。
方法① お湯+重曹+洗剤
方法② 除光液(但し、アセトン入り)
方法③ スーパークリーナーやリムーバー
方法④ アルコール(エタノール)
などがあります。
方法②は、アセトン入りなら有効ですが、
近年はアセトンの入っていない除光液の方が主流ですので今回は除外します。
早速検証します。
【写真で検証】筆についたアクリル絵の具の落とし方を実践
今回使った絵の具はプロ用で、リキテックスのガッシュ・アクリリックプラスです。(ガッシュタイプですがひび割れしにくい堅牢性があります)
リキテックスのガッシュ・アクリリックプラスの公式商品ページはコチラ
赤・青・黄・黒の4色で検証します。
筆に付いてすぐの場合
すぐなら水洗いで簡単に落ちます。
①まず、余分な絵の具は濡れたペーパーなどで拭き取ります。
②水で落ちにくい時は50℃位のお湯に1分位漬けてください。
③溜めたお湯の中でトントン叩きながら洗い、根元までよく洗いましょう!
根元に残っていると、後でまた固まってしまいます
④流水でよく洗い流しましょう。
⑤良く拭いて、形を整えてから十分に自然乾燥させます。
【検証】時間が経って乾いてしまったアクリル絵の具を落とす!


検証に使う筆と溶剤
筆、ハケ、溶剤(重曹・エコリムーバー・アルコール)、プロ用アクリル絵の具
手順
①アクリル絵の具(黄色・赤・青・黒)をチューブから直接出して
筆やハケに塗り込める。
②一週間、自然乾燥。
③溶剤(重曹・エコリムーバー・アルコール)をたっぷり塗る。又は吹きかける。
④キッチンペーパーなどで拭き取る。
⑤根元までよく水洗いする。
※使用したアルコールはエタノール53.4%(普段使用の物で)
エタノール含有量にもよりますが、手指消毒用のアルコールでも大丈夫です。
どちらも火気厳禁。
アルコールは、薬局やドラッグストアで300円前後から購入でき、
手軽に入手できます。
※スーパークリーナーは容量が多く費用もかかるため、安価に入手できるリムーバーを使ってみます。

リムーバーの公式ページはコチラ
P.アクリルガッシュ エコリムーバー商品詳細ぺージ | ターナー色彩株式会社 | TURNER COLOUR WORKS LTD.
重曹で落とす場合(素材:豚毛ハケ)
「重曹+お湯+食器用洗剤」の場合と、「重曹+お湯」の場合と比較しました。
アクリル絵の具を直接ハケに塗り、水を少し加えてしっかり染み込ませて、
一週間自然乾燥。ガッチガチに固まりました。
1⃣洗剤を加える方法
重曹ティースプーン山盛り1杯
40℃位のぬるま湯大さじ2杯
食器用洗剤ティースプーン1杯 をよく混ぜます。
ハケを浸してゆっくりとほぐします。
時々ほぐしながら10分後。だいぶ落ちてきました。
水洗い後、重曹+ぬるま湯+食器用洗剤 各ティースプーン1杯 に
1時間さらに漬けてから、流水で洗います。
2⃣洗剤を加えない方法
重曹ティースプーン山盛り1杯
40℃位のぬるま湯ティースプーン1杯
をよく混ぜます。ゆるいペースト状態。
混ぜるようにほぐしながら10分後。
だいぶ落ちてきました。
水洗い後、さらに重曹ティースプーン山盛り1杯を直接塗りこめ、
1時間おいてから、流水で洗います。
3⃣検証の結果
上が洗剤入り、下が洗剤無しの写真。差は見られません。
どちらも1回では落としきれず、 2度洗いする必要があります。
また、1回目はぬるま湯が多い方が、色が溶け出しやすい。
どちらも割合と落ちてはいますが、 筆先にうっすらと色が残り、根元までは落とせませんでした。
根元を落とそうと力をかけてしまったため、筆先が広がってしまいました。
エコリムーバーで落とす場合(素材:ナイロン筆・豚毛ハケ)
リムーバーをたっぷり乗せて5分間馴染ませると、絵の具が溶けてきました。
リムーバーでとろけた絵の具をペーパーでよく拭き取ってから、よく水洗い。
きれいに落ちました!
ナイロン筆を長時間浸すと、傷む恐れがあります。
アルコールで落とす場合(素材:ナイロン筆)
アルコールを噴霧したら、1~2分で水性化?したように溶け始めた。
アルコールに1~2分馴染ませたら、ペーパーで拭き取り、水洗い。
すぐにきれいに落ちました!
アルコール(エタノール)を使ったらあっという間に落とせました。乾燥後に落とす溶剤としてとても有効です。
実験を通して感じた溶剤の様子
重曹
乾燥後にも使えて、吸着させて落としている感じがします。
浸けてすぐに溶け始めるわけではありませんが、
筆をほぐすように動かしているうちに10分ほどで徐々に溶けだしてきます。
筆先がほぐれた後でも、中の方は落ちきれていないため
1時間~数時間漬けておくと、まだ色が溶け出てきました。
それでも毛先に染み込んだ色は残り、根元の固着はほとんど取れず、
今回の3種の中では最も効果が控えめ という印象です。
手元にアルコールもリムーバーも無いけど、重曹ならある!という場合には有効でしょう。
後からアルコールを用いても、これ以上は落とせませんでした。
きれいに落としたい場合には、初めからアルコールを使ってください。
※アルコールは薬局・ドラッグストアで手軽に入手できます。

リムーバー
固着した絵の具を柔らかく溶かして、元の絵の具のように戻すような感じ で、
気をつけないとまた周囲に付きやすいです。
筆がどっぷりと浸かる位たっぷりとかけて5分ほど馴染ませると、
トロトロに柔らかくなり、リムーバーと混ざり合って緩い絵の具のように変化します。
時間に余裕があれば30分位置くと良いでしょう。
落ち具合はキレイですが、トロトロとしている分、
たっぷりの流水で丁寧に洗い流す必要があります。
アルコール
アクリル絵の具の“定着剤”を水溶性にして、 “顔料”と分離させて剥がれやすくするという感じでした。
たっぷりと噴霧した1~2分後から、
じわーっと絵の具の“顔料”が流れ出てくる感じです。
初め見たときは、率直に「わぁ!これはすごい!」と思いました。
アルコールはひたひたにたっぷりとかけてください。
(1回で綺麗に落ちるので、ここはケチらずに(笑))
サラサラしているので、流水で洗い流す時も楽でした!
※アルコールは薬局・ドラッグストアで手軽に入手できます。


アクリル絵の具を筆に固着させない予防対策と正しい洗い方
予防対策
①使った筆は、まず付いた絵の具をすぐに濡れたペーパーなどで拭き取ります。
(絵の具の種類によっては水質環境に悪影響を及ぼす場合があるためです)
②水バケツで軽く洗って落としておきます。
水バケツは幾つかに分かれたタイプがお勧めです。
正しい洗い方
①使った筆は、余分な絵の具をペーパーや雑巾などで拭き取ります。
②水バケツなどに溜めた水で、根元まで落ちるようトントン叩くように洗います。
③最後に洗う時は流水で、根元までしっかりと洗い流します。
(ここに残っていると後で固まる原因になります!)
④洗った後はしっかり拭いて、筆先を整えて自然乾燥させます。
(よく乾燥させてから収納しないとカビの原因になります)
ドライヤーで乾かすと熱で筆が痛みますので、絶対に使わないでください。
また、絵の具が残っていた場合、頑固に固着してしまいます。
筆について
・筆は消耗品です。
動物の毛は傷みやすいので、扱いやすいナイロン筆がおすすめです。
・ナイロン筆はアルコールでも毛が傷まず問題なく使えました。
一方、天然獣毛(イタチ毛など)はアルコールで毛が傷む可能性があるので、
リムーバーで優しく落とす方がおすすめです。
筆についたアクリル絵の具を落とす時、やってはいけないNG行動
①熱湯で煮沸する → 穂先の接着剤が溶けて筆がバラける
②力任せにこする → 穂先が広がって使い物にならなくなる
③ドライヤーで乾かす → 熱で筆が痛む
つい効果が上がりそうでやってみたくなりますが、絶対NGです!
【まとめ】筆についたアクリル絵の具の落とし方は「時間」と「アルコール」が鍵
付いたばかりで乾燥する前のアクリル絵の具の場合
直ちに余分な絵の具をペーパーなどで出来るだけ拭き取り、
すぐに水洗い!50℃のお湯が効果的。
根元までよく落とすのが最大のコツ!
時間が経って乾いてしまったアクリル絵の具の場合
消毒用アルコール(エタノール)の噴霧が最強!
1~2分で水性化して剥がれる。
72時間以内が勝負!
時間が経つほど酸素と結びついて固着していきます。
付いてしまったら直ちに洗いましょう!

服などについた時の落とし方はこちらの記事に詳しく書いてあります。
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